機械学習における重要な要素の一つである「学習率」について、初心者でも理解しやすいように解説します。機械学習を学ぶ上で、学習率の役割や意義を理解することは非常に重要です。
学習率とは何か?
機械学習は学習を重ねることでパラメータを適切な値にしていきます。その中で学習率とは1回の学習でどの程度パラメータを修正するかを決める重要な値です。収束値に到達する前に発散してしまい、最適なパラメータが得られなくなってしまいます。一方、学習率が小さすぎると、最適なパラメータに収束するまでに時間がかかってしまうため、効率的な学習ができなくなります。
学習率をイメージでとらえてみる
学習率をイメージでとらえてみましょう。
「学習を繰り返して適切な値に調整する」ことを「歩いて目的地に行く」と置き換えてみます。
調整するパラメータの適切な値を目的地、学習の回数を歩数、学習率を歩幅と考えます。
1歩進む速度が同じ場合、歩幅が大きいほど大きく進むことができます。つまり、歩幅が大きいほど早く目的地に近づくことができるのです。
学習率も同じで、学習率が大きいほど早く目的値に近づくことができます。
これなら学習率が大きいほうが学習回数が少なくなるので良いかと思われますが、大きくすることでデメリットもあります。
それは、大きいことで細かく調整ができないのです。
ここで学習率の大きいときと小さいときのメリット・デメリットをまとめてみましょう。
学習率が大きいと
〇学習が早く進み、収束までの時間が短くなる
×正確な値に調整が難しい
学習率が小さいと
〇細かい調整で正確な値を求めることができる。
×収束に時間がかかる
つまり、学習率を適切に設定することで、機械学習モデルをスムーズに収束させることができます。学習率の適切な設定は、実際にデータを試行錯誤しながら決めることが多いです。
学習率の調整方法
機械学習において、適切な学習率を設定することが重要だと理解できました。最後に最適な学習率を求めるための方法をいくつか紹介していきます。
Grid Search(グリッドサーチ)
予め設定した学習率の候補を全て試し、最も良い性能を発揮する学習率を採用する方法です。ただし、候補の数が多いと時間がかかることがあるため、注意が必要です。
Random Search(ランダムサーチ)
学習率の候補をランダムに選び、最も良い性能を発揮する学習率を採用する方法です。Grid Searchよりも効率的に最適な学習率を見つけられる場合があります。
Learning Rate Schedule(学習率スケジュール)
学習率を訓練中に変化させる手法です。学習率が大きすぎると収束しないことがあるため、学習率を徐々に小さくすることで収束を促すことができます。学習率スケジュールには、ステップスケジュール、指数スケジュール、コサインスケジュールなどがあります。
自動調整機能の利用
いくつかの機械学習ライブラリには、自動的に最適な学習率を探索する機能があります。例えば、Kerasには”ReduceLROnPlateau”という学習率を自動的に調整するコールバックがあります。
まとめ
学習率のイメージを簡単に解説しました。適切な学習率を選択することは、モデルの収束速度、学習の安定性、および最終的な性能に大きな影響を与えます。適切な学習率を見つけることは、機械学習における重要なスキルの一つですので覚えておきましょう。
コメント